【飲食店営業】客席を屋外に設置して営業をするにはどのような手続きが必要?(東京都)
オープンカフェやビアガーデンなどの客席を屋外に設置して飲食店を営業する場合、飲食店営業許可を受けるだけでは営業を行うことはできません。
では、客席を屋外に設置して飲食店を営業するときは、どのような手続きが必要になるのでしょうか?
この記事では、客席を屋外に設置して営業をするときの手続について解説させていただきます。
※この記事では「東京都」の許可申請の手続について解説しています。「東京都」以外で許可申請をされる方は、この記事の内容は参考程度に止めて、詳細はそれぞれの行政庁で確認するようにしてください。
客席を屋外に設置するときの注意点
手続の解説にはいる前に、まずは客席を屋外に設置するときの注意点を見ていきましょう。
この注意点を守らないと、そもそも許可が下りないからです。客席を屋外に設置して営業をするためにもしっかりと理解しておく必要があります。
設置場所に関する規則
屋外に客席を設置して営業を行う場合、客席を自由に設置することができるわけではありません。
客席は次の規則に従って設置するようにします。
設置場所に関する規則
- 従事者が常に衛生的に管理できる範囲内に設置すること
- 完全に区画された調理施設、または屋内客席に隣接していること
上記2点をしっかりと守ったうえで、客席をどのように設置するかを決めるようにしましょう。
設置が認められない例として、屋内客席と屋外客席が公道を挟んで設置されている場合や、屋内客席と屋外客席は隣接しているが、屋外客席の管理区域が明確でない場合などが挙げられます。
屋外客席の管理区域を明確にするためには、管理区域をポール付きロープなどを張ったり、デッキなどをしようするといいでしょう。
客席を屋外に設置するときの留意事項
次に客席を屋外に設置するときの留意事項を見ていきます。
客席を屋外に設置するときは次のようなことに気をつける必要があります。
客席を屋外に設置するときの留意事項
- 照明設備は、作業、清掃等を十分にすることができるようひつような照度を確保できる機能を備えること
- 衛生上の健康危害を防止する観点から、食品、器具等の取扱いにかかる公衆衛生上必要な措置の基準を順守すること
- 屋外客席では、従事者による調理行為は行わないこと
- 屋外客席では、サラダバー、バイキング、フリードリンクコーナー、バーベキューに係る焼台等の食品取扱設備を設けないこと
- 雨天等突発的な事象に備え、屋外客席の設備を衛生的に保管できる保管場所を確保すること
- 道路の不正使用、排煙、臭気、排水等に係る周辺環境への影響等その他において問題が生じることがないよう、関係する他法令においても順守すること
上記の留意事項以外にも、保健所と十分に協議し指導に従うようにしましょう。
客席を屋外に設置して営業をするための手続
注意点を理解していただけたと思うので、ここからは客席を屋外に設置して営業をするための手続について解説していきます。
まず冒頭でも述べたように、客席を屋外に設置して営業するためには、飲食店の営業許可を受けているだけでは行うことができません。
飲食店の営業許可以外に、客席を屋外に設置して営業を行うための届出が必要になるということです。
さらにこの届出をすることができるのは対象となる業者にしか認められていません。
次に説明します。
対象業者
客席を屋外に設置して営業を行うための届出ができるのは対象業者のみです。
対象業者とは、食品を調理し、または設備を設けて客に飲食させる営業を行う「飲食店営業」等を行う業者のことです。
そのため「飲食店営業」等以外の業者(業種)の場合は、届出をすることができません。
また「飲食店営業」であっても臨時営業、引車、自動車による移動営業並びに天ぷら船、屋形船および自動販売機による営業は、原則客席の設置を前提とした営業ではないため、届出の対象とはしていないので注意が必要です。
客席を屋外に設置する届出の必要書類
客席を屋外に設置して営業を行うための届出をするときに必要な書類は、公有地に客席を設置するか否かで異なります。
まずは公有地以外に設置する場合を見ていきましょう。
公有地等以外に屋外客席を設置する場合
公有地以外に屋外客席を設置する場合に必要となる書類は、「屋外客席営業設備の大要」です。
この書類は東京都福祉保健局のホームページでダウンロードできます。
「屋外客席営業設備の大要」には、屋外客席の配置、屋外設備の保管場所、施設境界線、道路との境界線等を記入します。
この書類は2部提出することになるので、しっかりと準備しておくようにしましょう。
公有地に屋外客席を設置する場合
次に公有地に屋外客席を設置する場合の必要書類を見ていきます。
公有地に屋外客席を設置するときは、「屋外客席営業設備の大要」以外に「屋外客席設置届」「法令、条例等に基づく当該公有地等の使用等の許可を受けていることを証明する書面の写し」「当該公有地等の使用等の許可等を受けた者が営業者以外の場合、許可を受けた者からの当該公有地等の使用承諾書」が必要になります。
客席を屋外に設置した後に必要な届出
ここまで客席を屋外に設置するときの手続について解説してきましたが、最後に設置したあとに必要になる届出を見ていきます。
屋外客席について変更が生じた場合は、「変更届」を提出する必要があります。
屋外客席の変更とは次のような場合です。
屋外客席の変更
- 規模の拡大を伴う場合
- 屋外客席を廃止した場合
- 屋外客席の一時的な撤去
- 規模の縮小を伴う場合
上記のような場合は変更届と変更箇所がわかるよう記載した「屋外客席 絵営業設備の大要」を2部添えて提出します。
変更が生じたら忘れずに届出をするようにしましょう。
まとめ
客席を屋外に設置して飲食店の営業をするときの手続について解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?
客席を屋外に設置して営業をするときの注意点や、手続きに必要な書類、また設置したあとに必要な届出などをご理解いただけたかと思います。
この記事に書かれていること以外で、客席を屋外に設置して営業をするときの手続について疑問などがあれば、管轄の行政庁や飲食店営業許可を専門にしている行政書士に相談することをおすすめします。