飲食店の営業を開始するときは、営業の許可申請をして許可を受けることとされています。また許可申請をするためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
では、飲食店の営業を開始するための許可申請の要件とはどのようなものなのでしょうか?
この記事では、飲食店営業許可申請の要件について詳しく解説させていただきます。
飲食店営業許可の要件
飲食店の営業を開始するための許可申請の要件は大きく分けて3つあります。
3つの要件は次のとおりです。
飲食店営業許可の要件
- 欠格要件に該当していないこと
- 食品衛生責任者の設置すること
- 営業施設の基準に適合していること
上記の3つの要件をすべて満たしていないと、許可申請をすることができません。
特に③の営業施設の基準に適合していることは、許可申請の要件のなかで一番厳しくチェックされます。営業施設の基準に適合することについては、①の欠格要件と②の食品衛生責任者の説明のあとで詳しく解説します。
まずは①の欠格要件に該当しないこととはどういうことなのか見ていきましょう。
欠格要件に該当しないこと
欠格要件は食品衛生法という法律で定められています。この欠格要件というのは、飲食店を営業する者として相応しいかどうかを判断する要件です。
したがって次の項目に当てはまる人は飲食店営業許可申請をすることができません。
欠格要件
- 食品衛生法に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過していないこと
- 飲食店営業の許可を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過していないこと
- 法人で、その業未を行う役員のうち①②のいずれかに該当する者があるもの
上記の3つの項目に該当する場合は、飲食店営業許可申請をすることができないので、しっかりと確認するようにしましょう。
食品衛生責任者を設置すること
飲食店営業許可申請の要件の2つ目は食品衛生責任者を設置することです。
食品衛生管理者とは、営業所(店舗)の衛生管理を適切に行う責任者のことです。この食品衛生責任者は営業所ごとに設置することとされています。つまり食品衛生責任者がいない営業所では許可を受けられないということです。
食品衛生管理者になれるのは、調理師や栄養士の資格をもっている者か、食品衛生管理者の養成講習会を受講した者です。
許可申請の前に、必ず食品衛生管理者を選任しておきましょう。
営業施設の基準
ここからは要件③の営業施設の基準に適合していることについて解説していきます。
まず、営業施設の基準は「共通基準」と「特定基準」の2つに分類されます。次の表をご覧ください。
衛生施設の基準
【共通基準】
- 営業施設の構造
- 食品取扱設備
- 給水、排水および汚物処理
【特定基準】※下記の特定の業種のみに定められている基準
- 菓子製造業
- そうざい製造業など
- 食品の小分け業
- 魚介類販売業
- 食肉販売業
「共通基準」は業種を問わず定められている基準で、「特定基準」はある特定の業種にのみ定められている基準のことです。
共通基準は3つあり、それぞれ細かく基準が設けられています。1つずつ確認していきましょう。
営業施設の共通基準① 営業施設の構造
共通基準の一つ目は、営業施設の構造です。
基準に適合しているのかを審査されるのは営業施設の次の構造部分になります。
営業施設の構造
- 施設
- 区画
- 汚染等防止
- 床・内壁・天井
- 照明設備
- 換気設備
- 駆除設備
- 手洗設備
- 洗浄設備
- 冷蔵冷凍設備
- 保管設備
- 製品包装場所
- 添加物取扱設備
- 更衣場所
上記の14カ所が基準に適合している必要があります。
1カ所ずつ細かく基準が設けられているのですが、ここでは押さえておいてもらいたい特に重要な箇所の説明に止めておきます。
⑧の手洗設備には、洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であることという基準が設けられています。これは水栓(蛇口)が回すタイプではなく、感知センサーで自動的に水が出てくるタイプやレバー式、プッシュ式を採用するということです。
⑨の洗浄設備の基準は、共用による汚染を防ぐため、食材用真紅と器具洗浄用真紅を分けて2槽設置することや、油汚れ等の洗浄のため、給湯設備を設置することとされています。
⑪の保管設備の基準は、原材料を適切な温度で、汚染されない状態で保管可能な十分な大きさの設備を有すること、また洗浄剤、殺菌剤等の薬剤は、食品等と区分して保管する設備を有することという基準が設けられています。
営業施設の共通基準② 食品取扱設備
営業施設の基準の2つ目は、食品取扱設備です。基準に適合していなければならないのは次の項目です。
食品取扱設備
- 機械器具
- 運搬容器
- 計量器
上記の項目のなかで気をつけたいのは③の計量器です。
計量器は冷蔵、冷凍、殺菌、加熱等の設備には、温度計を備え、必要に応じて圧力計その他の計量器を備えるという基準があるので、しっかりと備えるようにしましょう。
営業施設の共通基準③ 給水、排水および汚物処理
最後の基準は、給水、排水および汚物処理です。
審査されるのは次の項目になります。
給水、排水および汚物処理
- 給水設備
- 排水設備
- 便所
- 廃棄物容器
- 清掃用具
③の便所の基準は、作業場に汚染の影響を及ぼさない構造であることとされているので、作業場から適度な距離で設置するのが望ましいです。また、専用の流水式手洗設備の設置も必要になります。
まとめ
飲食店営業許可申請の要件について解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?
飲食店営業許可申請の要件は大きく分けて3つあること、そのなかの一つである営業施設の基準を満たしていることが特に重要な要件であるということをご理解いただけたかと思います。
この記事に書かれていること以外に、飲食店営業許可申請の要件について疑問などがあれば、管轄の行政庁や飲食店営業許可を専門にしている行政書士に相談することをおすすめします。