【飲食店営業】お祭りやお花見、花火大会などで営業するにはどうすればいい?(東京都)
お祭りやお花見、また花火大会の会場などで簡易な施設で飲食店を営業しているのをよく目にします。
もし、お祭りやお花見の会場などでそのような営業を行う場合は、なにか手続きが必要なのでしょうか?
また手続きが必要な場合、どのように行えばいいのでしょうか?
この記事では、お祭りやお花見、花火大会などで飲食店の営業をする手続について解説させていただきます。
移動型臨時営業とは?
お祭りやお花見などの会場で飲食店の営業をするためには、「移動型臨時営業」の許可申請をする必要があります。
「移動型臨時営業」とは、一時的に催される行事において、行事のたびに営業場所を移動したり、反復して簡易な施設で食品の提供を行う営業のことです。
これから行う飲食店の営業が「移動型臨時営業」に該当するか否かは、次のフローチャートで確認することができます。
- Q1 簡易な施設で営業する
- 「はい」の場合はQ2へ
「いいえ」の場合は移動型臨時営業に該当しません(固定店舗の営業になります)
- Q2 複数の行事に移動して営業したり、同一の行事に繰り返し営業する
- 「はい」の場合は移動型臨時営業です
「いいえ」の場合は短期固定型臨時営業になります
確認はできたでしょうか?
またこのフローチャートから分かるように、移動型臨時営業は簡易な施設で1つの行事に1度だけ営業するもの以外の飲食店の営業のことです。
次に移動型臨時営業ができる行事について見ていきましょう。
移動型臨時営業ができる行事
移動型臨時営業ができる行事には次のようなものがあります。
営業できる行事
- 神社・仏閣の縁日、祭礼
- 住民祭
- 産業祭
- 花火大会
- 盆踊り
- 花見
- 歩行者天国
- 彼岸会
上記の行事で移動型臨時営業を行うことができます。ただし、専ら物品販売や興行など、営利を主目的とする行事は除くこととされているためお気をつけ下さい。
移動型臨時営業で取扱える食品
移動型臨時営業で取扱ができる食品は限定されています。具体的には次の食品を取扱うことができます。
取扱食品
分類 | 食品 |
煮物類 | おでん、煮込み、豚汁、けんちん汁 |
焼物類 | 焼きとり、焼き貝、いか焼き、焼きさつま揚げ、焼魚 |
お好み焼類 | たこ焼き、お好み焼、タコス |
茹物・蒸し物類 | じゃがバター、蒸しぎょうざ、蒸ししゅうまい |
めん類 | 焼そば、即席カップ麺 |
揚物類 | 串かつ、フライドチキン、フライドポテト |
喫茶類 | ところてん、かき氷、清涼飲料水、甘酒、しるこ、コーヒー、紅茶 |
ドッグ類 | ソーセージ類をそのまま、または衣を付けて焼くか油で揚げたもの、ホットドッグ類 |
酒類 | 日本酒、ビール、焼酎類 |
焼菓子類 | 今川焼き、クレープ、ベビーカステラ、五兵衛餅、焼き餅 |
揚菓子類 | ドーナツ、大学芋 |
団子菓子類 | 草団子、焼き団子 |
まんじゅう類 | 焼きまんじゅう、蒸しまんじゅう |
あめ菓子類 | べっこう飴、果実飴、カルメ焼 |
その他 | 果実チョコ(果実にチョコレートをからめたもの) |
上記の取扱食品は、1つの移動型臨時営業許可施設で1品目だけ取扱えることとされています。
ただし、飲料1品目を、他の分類の食品1品目と併せて提供することは可能です。
移動型臨時営業に必要な施設・設備
移動型臨時営業の許可を受けるためには、施設や設備の基準に適合している必要があります。
次のような箇所に基準が設けられています。
基準が設けられている施設・設備
- 施設
- 天井
- 内壁および天井
- 内壁
- 照明設備
- 給水設備
- 洗浄設備
- 消毒設備
- 排水設備
- 冷蔵設備
- 駆除設備
- 保管設備
- 廃棄物
- 機械器具
- 運搬容器
- 計量器
具体的な基準は下の資料でご確認ください。
移動型臨時営業の許可申請の手続
ここまで移動型臨時営業とはどのようなものなのかを見てきました。ここからは移動型臨時営業の許可申請の手続について解説していきます。
まずは許可申請にはどのような書類が必要なのかを見ていきましょう。
移動型臨時営業の許可申請の必要書類
移動型臨時営業の許可申請に必要な書類は次のとおりです。
必要書類
- 営業許可申請書
- 施設の構造および設備を示す図面(2通)
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの
- 許可申請手数料
上記の書類のほかに、法人の場合で営業許可申請書に法人番号を記載しないときは、登記事項証明書を添付する必要があります。(営業許可申請書に法人番号を記載するときは不要です)
また食品衛生責任者の資格を証明するものが必要になりますが、食品衛生責任者について詳しく知りたい方は下の記事をお読みください。
移動型臨時営業の手続の流れ
移動型臨時営業の許可申請は次のような流れで進んでいきます。営業開始までの流れをしっかりと確認しましょう。
- ① 事前相談
- 主たる営業場所を所管する保健所に、施設の図面等を持参して事前の相談を行います
- ② 書類審査
- 施設完成予定日の10日くらい前に保健所へ提出します
またこのとき、施設検査の打合せを行います
- ③ 施設検査
- 営業やの立会いの下で、保健所による検査を受けます
- ④ 許可書の交付
- 施設基準適合の確認後、許可書を作成されます
- ⑤ 営業開始
- 許可書が交付されたら営業を始めることができます
営業開始までの流れは上記のようになります。
施設検査で不適事項があると、改善をして改めて検査を受けることになり時間がとられてしまいます。
また許可書の作成には数日かかるため、営業開始日が決まっている場合は、事前相談や申請のときに担当者と打ち合わせをしておくといいでしょう。
まとめ
お祭りやお花見、また花火大会などで飲食店の営業をする手続について解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?
移動型臨時営業が行える行事や取扱える食品、また移動型臨時営業の許可申請の手続についてご理解いただけたかと思います。
この記事に書かれていること以外で、移動型臨時営業の許可申請について疑問などがあれば、管轄の行政庁や飲食店営業許可を専門にしている行政書士に相談することをおすすめします。